「質問」とは通常自分の情報収集のためと思っていませんか?
でもその考えに基づく質問の仕方では、相手の本当の考えや思いをすべて引き出すことができるとは言えません。
なぜならそれは、闇雲に相手の引き出しを探し、答えを引っ張り出そうとすることになるからです。
引き出しのありかは、本来質問される相手のほうがよくわかっているはずです。ですから質問に応じて自分で引き出しを開け答えを提供します。
ただ、もしかしたら相手は引き出しが非常に開けづらくなっている状態かもしれませんし、自分が他にも引き出しを持っているということに気づいてないかもしれません。
「相手のための質問」とは、相手が自ら引き出しを開けるように、さらには隠れた自分の引き出しを見つけ出し、その中の思いや考えを提供するように仕向ける質問の仕方のことです。
せっかく相手に敬意と関心を持って接し、心をニュートラルにして聴く態勢を整えたにしても、相手が本当に思っていることをあますところなく話してくれなくては意味がありませんよね。
4W1Hの質問の効果
まずは、相手が引き出しを開けやすくする端的な例をみてみましょう。
私たちは小さな頃から質問する時は、5W1Hの質問を使うように教えられてきましたよね。
- 「いつ?」(When?)
- 「どこで?」(Where?)
- 「だれが?」(Who?)
- 「なにが?」(What?)
- 「どのように?」(How?)
そして、「なぜ?」(Why?)
でも最後の「なぜ?」は、時には使わないほうが良いのです。
今期の目標が達成できない時に、「なぜ、目標が達成できないんだ?」と言われるのと、「なにが目標達成の妨げになったんだ?」と訊かれるのとでは、どちらが答えやすいですか?
子供のころから「なぜ?」という疑問符を投げかけられると、次には必ず悪いことが続くという体験を多くしてきているから、自然と言い訳や防御の気持ちが働いてしまうんです。
これでは、答えの引き出しは開けにくくなってしまいますね。
ですから、「なぜ?」ではなく、「なに?」という「相手のための質問」をして引き出しを開けやすくするんです。
視点を変えて新たな引き出しを探させる質問
「あなたの親友ならどんなアドバイスをしてくれると思いますか?」
このような質問の仕方は、相手の視点を変え、新たな引き出しを探させる「相手のための質問」です。
訊かれた相手は、自分の中で親しい友人を思い浮かべ、あいつならこう言うだろうな、それともこう見るかな?というように違った視点から客観的に物事を捉えることができます。
結果的に本人が考えてもみなかった答えを思いつくかもしれません。
「沈黙」も時には究極の質問になる
沈黙も時には非常に大きな効果があります。
相手が答えに窮している時、「黙ってるから、ゆっくり考えてください」と付け加えます。
こうすることによって、質問された相手は、ゆっくりと深く考えることができるようになります。
自分自身で隠れた引き出しを探し出し、今まで気づかなかった答えを提供してくれるでしょう。
まとめ
日常の会話の中で「相手のための質問」を少しでも取り入れてみると、いつもと違ったコミュニケーションの展開があるかもしれません。
能動的なテクニックですから、コミュニケーションを自分でコントロールする気分が味わえて楽しいのではないかと思います。
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